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日本語
まえがき 原子炉を設計する上で, また原子炉の安全性を議論する上で, 原子炉構造工学の重要性はこのところとみに高まる一方である. 例えばこの数年, 米国の軽水型原子力発電所で配管系にクラックが次々と発見され冷却水の漏洩事故を起こした. その後わが国においても同種類の欠陥が発見され, それをきっかけとして原子力発電所の安全性について新たな論議を引き起こしている. 幸いなことにいずれも大事には到らずに済んでいるが, このような予想しないクラックが発生することの究明, あるいはこの種のクラックが存在したときに, 配管のカタストロフィックな大破断に到ることに関する安全裕度はどの程度であるかを推定するのには, 従来の学問領域の枠を越えた総合的な研究蓄積が要求される. また原子炉のように, 従来の機器類とは異なる過酷な環境下における構造物をさらに安全に稼動させるためには, 従来とは比較にならない高度な設計解析も要求されよう. このようなことから原子炉構造工学という工学の新しい境界領域の重要度が, 原子炉プラントの実際の設計や運転の実績が積まれるにつれて, ますます高まってきたわけである. 以上のように, 原子炉構造工学が原子力工学においてかなりのウェイトを占めているにもかかわらず, この方面におけるまとまった教科書あるいは参考書はいまだ著わされていない. 幸いにも筆者らはこの方面の教育研究に大学院時代も含めて約10 年の間携わることができ, この領域の広範さと深さを垣間見てきた. しかしこのような原子炉構造工学の全容を200 ページ前後の書物にまとめることはほとんど不可能に近く, したがって本書では大学学部 3,4年生, 会社や研究所でこの方面の仕事に従事している若手技術者および研究者を対象として, 最低限度必要と思われる基礎知識を中心に記述することを念頭においた. 本書は6章から成り, 第1章ではこの方面の工学基礎としての固体力学について概要を述べる. 第2章ではこのところ急速に発展し原子炉構造工学の各方面での応用が見られる有限要素法について, その基本的事項を説明する. 第3章では原子炉構造の安全性を論ずる上で不可欠な破壊力学の基礎について述べる. 第4章では原子炉の構造設計の実際について現在最もひんぱんに引用され るASMRコードを中心に解説を行なう. 第5章では高温型の原子炉である高速炉や高温ガス炉などを対象とした高温構造解析法について紹介する. 最後に第6章においては原子炉構造の溶接施工など, 原子炉製作面からの概要を述べる. なお各章はいちおう独立した形で書かれているので場合によっては必要な章のみを選択して読むことも可能である. また, このシリーズの中で原子力プラントの構造設計に関するものが別に刊行予定であり, あわせて参考にされることをお奨めする. 最後
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