フィリピンの詩人アクセル・ピンピンの獄中詩「私は私の詩ではない」が英訳公開
フィリピンの元政治囚で詩人のアクセル・ピンピンが拘禁中に執筆した詩「私は私の詩ではない」が、ライアン・フエンテスの翻訳により英語で紹介された。
フィリピンの詩人であり活動家でもあるアクセル・ピンピンが2007年9月5日に執筆した詩「私は私の詩ではない(I Am Not My Poetry)」が、マニラを拠点とするライアン・フエンテスによるフィリピン語からの英訳で公開された。ピンピンは2006年から2008年にかけて反乱罪の容疑で拉致・拘禁された経歴を持つ元政治囚であり、この作品は過酷な拘禁下で生み出された。
獄中詩集と作品の背景
本作は、2008年にサザン・ボイシズ・プリンティング・プレスから出版されたピンピンの詩集『Tugmaang Matatabil: Mga Akdang Isinulat sa Libingan ng mga Buhay』(英題:Outspoken Verses: Poems Written in the Tomb of the Living)に収められている。この詩集に収録された作品群は抗議詩や獄中詩を中心として構成されており、ピンピンの拘留期における「獄中日記」としての性質を強く備えている。
飾りのない率直な詩の文体
ピンピンの詩作は、過剰な言語的技巧や音楽性を排した、飾り気のない率直な語り口を特徴としている。詩篇「私は私の詩ではない」において、自身の詩はバロン・タガログを身にまとって手入れされた栄誉あるものではなく、色彩や匂い、形、音楽のキャンバスでもないと表現される。比喩や神秘的な韻律、言葉遊びからも距離を置き、詩を自分自身の総和ではなく表現のための道具として位置付けている。
詩人の境遇と存在の描写
詩の中では、自作の詩句を持たず、貧困と飢えに直面し困窮した状態で生きる詩人の姿が描き出される。詩論の泥の中で忘れ去られ、他者から朗読されることのない詩であり詩人でありながら、同時に自らを「詩において始まり、詩において終わる詩人」であると規定している。
著者と翻訳者の活動
ピンピンは音楽グループ「ジ・アクセル・ピンピン・プロパガンダ・マシーン(The Axel Pinpin Propaganda Machine)」のリードボーカルとしても活動している。これまでに1999年の自費出版詩集『Tugmaang Walang Tugma(Blank Verse)』、2008年の『Tugmaang Matatabil』、2012年の自費出版詩集『Lover's Lane』の3冊の詩集を発表してきた。英訳を担当したフエンテスは、2009年よりブログ「In Lieu of a Field Guide」で書評を執筆しており、翻訳文学を主な関心分野としている。